写真の綜合店

タグチ写真館

太子町の中心部に立地する写真館。フォトスタジオで記念日や証明写真などを撮影する他、卒業アルバムなどの出張撮影もおこなっている。創業以来約70年、撮影以外にも各種プリントサービスや写真の修正作業をおこなう「写真のなんでも屋さん」。子どもたち同士で撮影したり、生徒や先生方のアイデアを生かす、自由な発想から生まれる卒業アルバムづくりが非常に人気。

  

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オーナーの田口徹さんに、お話をうかがいました。

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田口さんが大切にしている言葉

写真は真写である。

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●事業内容を教えてください。

卒業アルバムの写真撮影やご家族の記念写真、時にはお葬式の写真も撮りますし、物品の販売もしている、写真のなんでも屋さんです。ご覧のとおり、まわりは田んぼですから専門的な商業写真を撮っていても商売にはならないんですよね。近年、写真屋仲間が減ってきました。だから、撮影の仕事をしていてよかったなと。物品を売るだけなら、ここで野菜を販売してもいいわけです。けれど撮影となると、話は違う。そのへんは昔から意識していましたね。だから、おかげさまで生き残れたのかなと思います。この界隈で、写真の修整ができるプロは僕だけになってしまいましたしね。

●創業の由来を教えてください。

父親が写真撮影の仕事をしていて、僕は2代目。2014年に70周年を迎えます。小さいころから機械が好きでした。カメラがとても貴重だった時代に、父はカメラを3台ほど持っていたんです。僕は機械に興味がありますから、触りたくなるわけですねぇ。こっそりいじって、もとどおりにしまっておくのですが、ばれてしまう(笑)。そういうことを繰り返しているうちに…確か小学2年のクリスマス、サンタクロースからのプレゼントがカメラだったんですよね。その瞬間、心を奪われてしまった。父から写真の仕事を継ぐよう言われたことはないのですが、僕は自然に洗脳されてしまったんです(笑)。

 

●すてきなエピソードですね!

さらに。小学校の修学旅行の時、当時の担任が「田口君、カメラをもらったんだって?修学旅行に持っていって記録したら」と言ってくださって。修学旅行から帰ると、撮影した写真を模造紙に貼って展示してくださいました。今みたいにたくさん撮れる時代ではありませんから、ほんの少しだったと思うのですが、このできごとも今につながっていますねぇ。まわりの人から導かれるように、僕は写真の仕事をしているわけです。

●当時、フィルムは貴重ですよね。

1コマ撮るといくらかかる、という世界でしたからね。修学旅行の時は、幼いながらも全体のストーリーを考えて、シャッターを切っていきました。このポイントは絶対撮ろう、などと決めていたんですね。そのすき間に遊び心を加えたりして、全体を見ると物語になっている、という組み立てでした。今はシャッターをばんばん切って、消していく時代ですからねぇ。カメラマンは12名いるのですが、若手はデジタルカメラしか知りませんから、その場で撮ったものを消してしまうんです。見るのも、きれいなとこばかり。「(写真データの)番号が飛んでいるところは何を撮ったの?」と聞くと「消しました」と言うんです。そこが、実は大切なんです。なぜ失敗したのかを考えることで成長していくんです。現代は、人間までデジタルになってしまっている気がしますね。音楽にたとえてみると、デジタルはCD、アナログはレコード…他にも生演奏など、表現する方法はいろいろあるわけです。作曲する側、つくる側の気持ちがCD化、デジタル化してしまっているわけです。つくる側が揺らいでしまうと、いい曲はできないんですよね。そこはきっちり守ってほしいなと。

 

●作曲する側は、CDになろうとレコードになろうと関係なく、いい音楽をつくることをめざすべきだと?

おっしゃるとおりです。方法はどうでもいいんです。絶対的にいい音楽をつくる、という気持ちが大切なんです。そういう話を若手のカメラマンにしましたが、わからなかったかもしれませんね。

●撮影には可能性があるのでしょうか。

そうですね、外に出ていきますし。現在、18の学校へ写真を撮りに行っています。行事のたびに出かけていますから、12名のカメラマンが必要なんです。撮影は春から始まって、途中でカメラマンの体調が悪くなってもお断りすることはありえません。お引き受けした以上は、最後までやり遂げます。しんどい商売ですね(笑)。

 

●カメラマンさんは1年間、生徒たちに密着するわけですね。

はい、いろんな関係性が生まれますから、その雰囲気が写真にも表れます。その時だけ行って撮影しても、いい顔なんてしてくれないんです。無理なんです。心が通い合った状態でシャッターを切ると、すばらしい表情が撮れるんですよね。スタジオで記念撮影をする場合でも、その前に必ず15~20分間はお話をします。するといつしか、かたかった表情がほぐれていくんです。写真は「真を写す」と書きますから、真の素顔を引き出すにはコミュニケーションが必要なんです。

●「真を写す」っていい言葉ですね。すてきな写真を撮ってもらえることがわかります。

テレビなどで取材してもらったこともあるのですが、卒業アルバムの個人写真は、生徒同士で撮ってもらっているんです。その日だけ行って撮影しても、やはりなかなか。学校によっては幼稚園のころから参加している子どもたちもいますから、お互いを撮るのが上手なんです。

 

●奥のスタジオで、プロの機材で子どもたちが撮影するのですか。

そうです。ピントを合わせるのは大変ですが(笑)、やっぱりいいものができあがる。一番のねらいは、卒業アルバムをつくるのに私たちが撮影して、編集すると料金が変わってしまうわけです。それがなんだか、さびしくてねぇ。生徒同士で撮影してもらったらどうだろう、というアイデアが浮かんだので先生方に相談してみたところ、OKが出たんです。人を巻きこんでいくわけですよね。実現できた年とできなかった年もありますが、アルバム編集委員のみなさんにここへ来てもらって。学校でふだん使っている机や椅子をここに持ってきてもらい、女の子が受付をするんです。子どもたちって、大人の言うことは聞かなくても生徒同士で言うことは聞くんですよね(笑)。

●そういう卒業アルバムがほしかったです。

卒業アルバムは、卒業証書と共に受け取る、単なる記念品ではないんです。そうやってみんなでつくったアルバムは、新たな人生に踏み出すにあたっての、心のよりどころになるはず。さらに何十年後、アルバムを見返した時に「これ、僕が撮ったんだ」「あの子、元気かなぁ」と思い出が次々によみがえるアルバムをつくるのがねらいです。そうやって制作したアルバムがたくさんあります。変わったアルバムばかりですが(笑)、写真だけでなく、いろんなことを綴じこんでいくんです。先生同士で撮ってもらったものもあります。みなさん、心の中にカメラマンが住んでいるんです。だからこういう時に、秘めたカメラマンの心が顔を出す。クリエイティブな感性や可能性を持っておられるんですね。私たちが撮ったものにはこだわらず、先生方が撮った写真の中にいいものがあれば、どんどん使わせてもらいます。

 

●写真だけでなく、いろんなアイデアが詰まっていそうです。

英語の先生に校歌を訳してもらって掲載したり、生徒たち1人1人に「わすれもの」というお題で宝物を持ってきてもらい、撮影したこともありました。なぜこんなものが、という写真もあるでしょう?それぞれに意味があって、卒業文集には作文が掲載されています。おばあちゃんが亡くなる前にくれた時計や100円札、マンガ雑誌を持ってきた子もいるし、写真を見るだけでもおもしろい。作文を学校で書いてもらって、国語の先生に「点数をあげてくださいね」とお願いしました。すべての写真にエピソードが詰まっています。つくる側がストーリーを持っていないと、本当に思い出に残るアルバムはできませんね。

●クラス写真も、みんないい顔をしていますね。こんなアルバムがほしかったなぁ。

全員がそろっているから、クラス写真なんです。1人欠けても、クラス写真にはならない。いろんな個性があっていいと私は思うんです。おもしろい人はおもしろく写るし、やっぱり写真というのは真を写し出しますね。

●思想を共有できるカメラマンさんでないと、撮影をお願いできませんよね。

そうですね、ルールやマナーをまずはそなえていないと。人として重要な、基本的なことが身についている人はアホなこともできるし、気も抜けるんです。そして第五感の先にある第六感が機能し始めると「その瞬間」を察知して、カメラを前もってかまえられるようになる。その人の才能、感性しだいではありますが大切にしたいですね。

 

●どんなお客さまが多いのですか。

卒業アルバム制作で学校などにうかがうほか、お宮参り、七五三、入園入学式、成人式、お見合い写真など個人のお客さまも来られますね。太子町やたつの市、姫路市などからいらっしゃいます。

●これからチャレンジしたいことは何ですか。

写真の楽しみを伝えていけたらいいですね。撮る喜びを知ってほしい。そういう人が増えれば、世の中は楽しくなるんじゃないかと思うんです。「カメラは苦手だ」と言っていた生徒さんや先生がカメラを持ち歩くようになっているのを見ると、うれしくて。授業中にカメラを持ち出して、撮り始める先生が出現するといいなぁ(笑)。学校内の何気ない風景を撮ったりね。生徒さんたちにはこれからも、そういう話をしていきたいですね。

 

ありがとうございました!

 

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タグチ写真館

住所:〒671-1561 兵庫県揖保郡太子町鵤1323-2

Tel:079-276-0445

Fax:079-276-0445

営業時間:10:00~19:00(予約優先)

定休日:不定休

  

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